経年変化を期待する素材を使った場合、メンテナンスが必要になることがあります。木製品、金属製品とか。
住宅の建材として扱う場合(施主様にメンテナンスをお願いすることも含め)は圧高めでお勧めしますが、事業用空間(そんな言葉あるのか??)にそういった素材を使う場合は仕上げ方法について毎度悩みます。
例えば、木製品の場合。
表面をウレタン塗装といわれる比較的塗装面が強い仕上げを選ぶと、掃除がしやすかったり、いろんな外的要因を受けにくかったりしますが、触れた時の木肌特有の感覚が薄れます。なんというか、表面がプラスチックぽい感じというか。他にも様々な方法や商品ありますが、高強度(=便利、扱いやすい)になると質感が薄れる傾向にあります。
それでもこだわった素材を使い、質感も大切にするためにメンテナンスの労力は惜しまないよと言ってくださることもあります。まぁまぁ高確率で。なので、そのときはメンテナンスという手間の重要性をご説明し、納得していただいた上で最適な方法を採用することになります。
写真は2016年に杉の間伐材で床貼りしたヨガスタジオ。
無塗装でお引渡して、5年後にはこんな感じです。経年変化の好例。手間と労力の結果の色艶です。
スタッフさんや生徒さんで定期的に天然塗料でメンテナンスしていただいているようです。ヨガをするのに針葉樹の床はとてもいいらしく、昨年増設した別スタジオも同じ仕様を採用していただきました。
その空間が果たす役割によって優先する機能が違うのは当然ですので、これが正解というわけではありません。手間もコストもかかります。
お仕事の効率を考えると煩わしく感じたりするかもしれないメンテナンスですが、その空間を維持しつづけるオーナーやスタッフの心遣いはやはり空気感として伝わってくると思います。